とんかつ屋の悲劇

とんかつ屋の悲劇、というニュース記事を目にしました。
個人経営の人気のとんかつ屋さんが店主の代替わりと共に立ち行かなくなってしまい閉店に追い込まれるというものです。

お客様目線で格安で料理を提供し、道楽半分のような経営をしてきた先代さん。
もちろんお客様からすれば安く食べられて助かる話ですが、お店として見れば儲けがほとんど出ない状態です。
そこで足りない分は自身の年金から補填していたということ。

ところがこれが代替わりすると、二代目の若い店主は年金を足しにするなんてできるわけがありません。
急に値上げをするわけにもいかないし、どうしようもなくなってお店を畳むしかなくなる……というお話です。
とんかつ屋さんだけ、飲食業界だけに限らず、最近はそんな理由で廃業してしまうお店や町工場が増えているそう。

高齢者でも元気に働く時代、自分のお小遣いになればそれでいいと安く仕事を請け負ってしまう方が多いそうです。
そうなると注文する側は「これまでその値段でやっていたんだから」と値上げに応じてくれません。
代替わりした若い世代や同業他社はその値段で仕事を引き受けざるを得なくなり、後継者も育たず事業全体が先細りになってしまうのだそうで。

高齢者の方が生きがいとして働くのは素晴らしいことだと思いますが、後進の事も考えてちゃんと適正価格で仕事を受けるという事も必要なんだと思います。
それが結果的に経済の活性化につながり、今の若い人たちの低賃金問題などの改善にもなるのではないでしょうか。

ずっと前から言われ続けている日本の伝統技術の職人さんの後継者不足なども、ひょっとしたらこういう面があるのかもしれませんね。
志があって伝統を絶やすまいとその道に進みたくても、生活が立ち行かなくては続けようがありません。
日本中あちこちで「自分の代で終わりだ」という伝統職人さんがニュースになっています。
しかし、その人たちの技術は継承する者がいなければ本当に失われてしまうものばかり。
保護を考えるなら国や自治体で補助金を出してあげるなどの手厚い施策が必要だと思います。
今からでも遅すぎるくらいです。なんとかそういった技術が保存されてくれないものかと願うばかりです。

2019年1月2日その他

Posted by souken